
ペインクリニック(痛みの治療)について
ペインクリニックは、神経ブロック療法や薬物療法などの様々な方法を用いて、「痛み」を緩和するための診断と治療を行う専門の診療科です。
痛みが長期化すると、私たちの生活の質(QOL)を低下させることにもなります。このような状態に陥った時はもちろんのこと、そうなりそうな時には、身体的・精神的な苦痛を適切に緩和することが重要になります。
当院では、痛みの治療にあたり、専門的な知識と技術をもって症状や身体所見から痛みの原因を診断し、適切な治療を行います。
神経ブロック療法
炎症を起こした神経の近くに、強い抗炎症薬を直接注入することによって「痛み」を抑える治療法です(神経を傷つけることはありません)。
神経ブロックは内服薬と異なり、必要な部位だけに直接的に効果を及ぼすことから、全身的な作用が無く、意識にもほとんど影響しません。
しかも、激しい痛みの多くは神経の強い炎症によって生じているので、一般の消炎鎮痛薬を服薬しても痛みは軽くならない場合があり、現在のところ、神経ブロックを上回る効果を確実に上げられる治療法は少ないのが現実です。
また、注射に抵抗のある患者様もいらっしゃると思いますが、最初に髪の毛ほどの細い針が皮膚表面麻酔をかけるときにチクッとするくらいで、そこから先はほとんど痛みを伴いません。そのため、神経ブロック療法を一度でも経験した患者様のなかには、神経ブロックをすすんで受ける方が大勢いらっしゃいます。
薬物療法
一方で薬物療法も重要な治療法です。
一般的な消炎鎮痛薬のほかに、抗うつ薬や抗不安薬、抗けいれん薬、抗不整脈薬などを組み合わせて、つらい痛みをやわらげていきます。これらの薬剤は鎮痛薬ではありませんが、鎮痛作用を発揮する薬剤であり、鎮痛補助薬と呼ばれます。
しかし慢性疼痛の場合は、これらの薬物療法では効果の少ないことも多いため、漢方薬をよく併用します。漢方薬には気(き:生命エネルギー)、血(けつ:血液)、水(すい:血液以外の体液)の流れを改善する効果があり、他の薬剤では対応し切れない痛みの原因を取り除く作用を発揮します。
ペインクリニックの対象となる主な疾患と症状
腰痛

※ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰椎分離すべり症、腰椎椎間関節症、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)など
首の痛み
首の骨(頸椎)は、重さが5~8キロもある頭を支え、上下左右に動かしたり、回転させたりと、複雑な動きをコントロールしています。それだけに首には日頃から大きな負担がかかり、首の筋を違えたり、筋肉痛を起こしたりしがちです。
※首のこり(痛み)、首の後ろ側の痛み、上を向いた時の首の痛み、頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)、むち打ち症 など
坐骨神経痛

※椎間板ヘルニア、脊椎すべり症 など
膝痛
加齢や筋力低下から膝関節のクッションである軟骨部分がすり減り、関節炎や変形を生じるために痛みが生じます。
肩の痛み

※肩こり、五十肩(肩関節周囲炎)、肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)、石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)、頸椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう) など
椎間板ヘルニア
脊柱管狭窄症
頸椎症性神経根症
各種神経痛
三叉神経痛
帯状疱疹関連痛
早い時期から神経ブロック療法を開始することで、帯状疱疹後神経痛への移行リスクを減らすことが可能です。
頭痛

片頭痛
緊張型頭痛
頭が締めつけられるような圧迫感をともなう頭痛で、首すじの張り、肩の強いこり、吐き気、目の疲れなどが起こることもあります。
パソコン業務などの不自然な姿勢や精神的ストレスなどが原因で生じます。
群発頭痛
毎日ほぼ同じ時間(主に夜中~朝方)に、片目の周囲や奥の痛みをともなう激しい頭痛が起こるのが特徴的です。
20~30代の比較的若い男性に発症することの多い頭痛です。